もうそうたん

小説家を目指すメンヘラ女子の3人称の文章を練習場所。1記事を30分以内で書くという決め事でやっている。

専業主婦と男子

「大体みんな分かってないよね。」

彰は不満そうに言い出した。

「専業主婦が楽だっていう男の気持ちを考えたことある?」
「楽そうだから楽だって言ってるだけでしょ?バカにされてる様にしか感じないけど。」

テレビから視線を逸らすこともなく由美子は答える。テーブルの上にあるせんべいに手を伸ばしてボリボリと音を立てながら食べていると、彰は更に不満そうに話を続けた。

「楽そうだから楽だって言っている。それはあってるよ。でも馬鹿にしてるわけではないと思うんだよ。」
「今だってあなたは私はせんべい食べながらテレビ見て楽そうだなって思ってるわけでしょ?でもこれはあなたがいない間に炊事洗濯を終わらせた結果できてる行動なわけ。あなたが家にいるときに炊事洗濯をしていたらあなたがなにかやってほしいことをやってあげることができないでしょ?だからあなたに見えないところで私は色々なことをやっているわけよ。それを見ていないからって楽そうだって言われたら、それは馬鹿にされてるように感じちゃうわよね。」

「私は心が広いからいいけど」とこちらを振り向いて微笑みながら由美子は言った。そんな笑顔で言われたら卑怯だよなと彰は内心微笑みながらも不満そうな顔を崩さずに続けた。

「そうじゃないんだって。忙しい忙しくない。本当にその作業自体がきついかはこの話の主題じゃないんだよ。」
「それが主題じゃなかったらなんだって言うの?」
「男性の多くは専業主婦が仕事をするよりも楽だと思っている。裏返して考えると自分は仕事というきついことをやることで、女性に自分がらくだと思う専業主婦をやらせてあげてるってことなんだよね。専業主婦は楽だと思ってるから仕事を一生懸命やることで妻が専業主婦が出来る環境を整えてると見ることもできるわけ。それなのに女性は男性の心意気を無視して、楽して馬鹿にされてると思ってる。なんか不毛だと思わない?」
「そうだね。この話自体もすごく不毛だよね。」
「なぜそんなことを言うのさ。僕は以下に君を専業主婦にしてあげたいかを話しているのに何が不毛なの?」
「それはね。私は働くのが好きであなたが仕事を辞める前から私のほうが年収が高かったわけ。私とあなたでどっちが仕事に向いててどっちが舵に向いているかを冷静に考えると私が仕事であなたが家事なの。一般的な家庭の話をしても何も意味無いでしょ?」

テーブルのせんべいをもう一枚取ってボリボリと食べながら由美子は言った。彰は台所で皿を洗いながら楽させてもらってありがたいと僕はわかるのになぜ世の女性は楽をさせようという男の心意気を無視するのかがやはり不満でならなかった。